印刷できる高級感のある和紙「奉書紙」とは?

奉書紙(ほうしょし)とは、最もベーシックな和紙の一つです。
聞きなれない方も多いでしょうが、様々な場面で使用されており、生活の中で知らずに目にしている和紙かと思います。
今回は、奉書紙の特徴や使い方などをご紹介します。
奉書紙とは
奉書紙の特徴
奉書紙(ほうしょし)は和紙の一種で、白くて厚みのあるしっかりとした和紙のことを総称して「奉書紙」と呼ばれ、冠婚葬祭などで使われる伝統的な紙です。
自然な白さと格式高い雰囲気が特徴で、大切な思いを伝えるために用いられます。
厚くて丈夫な作りで、表裏があり表面はツルツル、裏面はザラザラした質感です。
かつては楮(コウゾ)を用いて手漉きで作っていましたが、現在ではパルプを使用して抄造機(しょうしき)で作られることがほとんどになりました。
伝統的な技法を用いた手漉き和紙も受け継がれていて、「越前奉書」などが有名です。
奉書紙の歴史
奉書紙の由来は室町時代まで遡ると考えられております。
当時幕府が公文書を作成するために用いていた最高級の公用紙のことを、命令書の意味で「奉」書と名付けられたという説が有力です。
奉書紙の紹介

越前奉書
伝統のある越前和紙で作られた高級奉書です。
越前奉書(えちぜんほうしょ)は、日本の伝統的な手漉き和紙の一種で、福井県越前市を中心に作られています。
越前和紙の歴史は約1500年前に遡り、その技術と品質は高く評価されています。
越前奉書は特にその強度、耐久性、滑らかな質感で知られ、主に書道や墨絵、版画などに使用されます。

伊予奉書
伊予奉書(いよほうしょ)は、愛媛県で作られる日本の伝統的な手漉き和紙の一種です。
伊予和紙とも呼ばれ、その品質と耐久性から広く知られています。
特に公式文書や美術作品に使用されることが多いです。

奉書金銀振り
純白できめが美しい奉書紙に細かな金銀をちりばめています。
さりげない金銀の箔が高級感があり、祝い事などにふさわしい紙です。
のし紙、掛け紙、便箋、挨拶状など幅広くご利用いただけます。

抗菌奉書
蛍光染料と呼ばれる紙を白く見せるための染料が使われている和紙は、食品に直接触れることは良くありません。
抗菌奉書は、蛍光染料の入ってない無蛍光紙を使用しておりますので安心してご利用いただけます。
表面がつるつる、裏面がざらざらとした質感です。
お菓子や料理などの敷紙、ランチョンマット、箸袋、食品の包装紙や台紙などにおすすめです。
奉書紙の用途
かつては公文書や儀式用に使われていましたが、現代では幅広く活用されています。
- 弔辞を書く用紙
- 香典・お布施を包む用紙
- のし紙や帯紙
- 商品パッケージや包装紙
- 御朱印用紙
- 祝儀袋の内紙
- お礼状・招待状などフォーマルな印刷物
- 結婚式の席札・式次第の印刷用紙
- 料理の敷紙
- 書道や版画などの作品
- 年賀状や暑中見舞いなど、季節の挨拶状
その他高級感や上品さ、神聖さなど、和の雰囲気を出したい時におすすめです。
奉書紙の印刷適性
和紙でありながら印刷が可能
- インクジェットプリンター
- レーザープリンター
いずれにも印刷適性があり、上質紙のように印刷に適した和紙と言えます。
フォントを工夫すれば、手書き風の温かみを表現したり、正統派の楷書体でフォーマルに仕上げることが可能です。
表面と裏面での質感の違い
使用する面 |
特徴 |
表面(ツルツルした面) |
滲みにくくインクが乗りやすい。 細かい文字の印刷にも対応。 |
裏面(ざらざらした面) |
滲みやすい(あえてインクを滲ませて、和紙の雰囲気を活かす)。 和紙独特の風合いを出す。 |
絶対に表面に印刷しなければいけない、という決まりはありません。
好みや用途に応じて使い分けることで、1枚の紙から様々な質感や雰囲気を出せます。
奉書紙のメリット
- 和風で高級感があること。
- 表と裏で質感の違いを楽しめる。
- 印刷適性があり、高い汎用性があること。
扱いやすさと和紙の質感の良さ、どちらも兼ね備えている点が奉書紙の魅力です。
和紙は洋紙とはまた違った風合いを出せるので、大切な思いを伝える場面で利用してみてはいかがでしょうか。