学校行事の印刷物を手作りで!先生・PTA必見のポイント

学校行事のシーズンになると、学生や保護者向けに多くの印刷物を作成する必要があります。
行事が多い時期には、広報誌や遠足のしおり、運動会のプログラムなど、準備に追われることも多いのではないでしょうか。
また、年度末が近づくにつれ、卒業式や入学式などの式次第や案内状、文集などの制作が欠かせません。
最近では、プリンターの性能が向上し、業者に頼らずとも美しい印刷が可能になってきています。
今回は、小学校・中学校の先生方やPTAの皆様に向けて、学校行事の印刷物を手作りする際のポイントや、教育現場で役立つ印刷物の作成方法や紙の選び方をご紹介します。
作るものに合った紙を選ぶ
学校行事で使用する印刷物は、その用途に合った紙を選ぶことが重要です。
たとえば、広報誌のようにデザイン性を重視したいものや、遠足のしおりのように生徒が書き込みをすることが前提のものなど、それぞれにの用途に合わせた紙を選ぶと、出来上がりがより良くなります。
配布物が大量に必要な学校では、コストも気になるところですが、どこにお金をかけるべきかをきちんと判断して、最適な用紙を選びましょう。
たとえば、見た目が大切な広報誌には少し高級感のある紙を使い、手書きで書き込むしおりには、書きやすくて丈夫な紙を選ぶなど、目的に合わせた紙選びがポイントです。
配布物の作り方と紙選びのポイント
広報誌
広報誌には、カラー写真が鮮明に印刷され、視認性が向上するコート紙が最適です。
光沢のあるコート紙は、色の発色が良く、高級感を演出できます。
また、予算に余裕がある場合は、光沢を抑えたマットコート紙もおすすめです。
マットコート紙はコート紙よりも上品な仕上がりになりますが、プリンターの対応機種に注意が必要です。

コート紙(グロスコート)
コート紙は、塗工紙(塗料で表面がコーティングされた用紙)の一種です。
グロスコート紙は製造過程で塗料を塗布した後に強く圧力をかけるため、用紙表面の平滑性が高く光沢が出ます。
ポスターやパンフレットの他、ファッション誌やカタログなどでよく使われています。
・ポスター、パンフレット:高品質なビジュアルを求める印刷物に最適
・雑誌、カタログ:写真やデザインのクオリティを保つために使用
・チラシ、DM(ダイレクトメール):目を引く広告印刷物に多用

マットコート紙
マットコート紙は紙の表面に塗工層を施された塗工紙の中でも低光沢で艶を抑えた紙の事を指します。
紙面を落ち着いた雰囲気にしたい時に選択していただくとその効果を実感いただけます。
マットコート紙は同じ斤量でも光沢のあるコート紙(グロス紙)に比べ厚みが出る事も魅力で、ページの少ない児童向けの絵本の本文に使われていたりします。
・パンフレット、カタログ:上品な仕上がりが求められる場合に最適
・冊子、雑誌:長時間読むものやテキストの多いものに適している
・ポスター、チラシ:控えめながらも発色を活かしたデザインに最適
・名刺:落ち着いた高級感を出したい場合に使われることもある
しおり
遠足などの行事で使用するしおりは、丈夫で鉛筆での書き込みができる用紙が適しているので上質紙や色上質紙が候補になります。
しおりを1枚の紙を折って作成する場合、生徒がメモを取りやすくなるよう、上質紙で90kg以上、色上質紙で厚口以上の厚さをおすすめします。
冊子にする場合は、表紙は上質紙で110kg以上、色上質紙で特厚口以上の厚さにし、中身は通常の紙を使用すると使いやすくなります。
イラストや図を取り入れることで見やすいしおりが作れるので、テンプレートや素材サイトを活用するのもおすすめです。

上質紙
上質紙は表面に印刷用のコーティングが施されていないため、表面はパルプが露出しているので平滑度はやや低く、触るとわずかにパルプの凸凹が感じられサラサラとしています。
パルプ比率が高いので、コーティングを施した用紙に比べると紙にコシがあり、強度も高いところが特徴です。
・コピー用紙、プリント用紙:日常的な印刷に使われる
・書籍、ノート、便箋:筆記性が必要なものに最適
・冊子本文、報告書:落ち着いた印象を与え、読みやすい

色上質紙
色上質紙は上質紙をベースに着色した紙で、表面は上質紙と同じくサラサラしておりマットな質感です。
平滑な紙肌はオフセット印刷だけでなくレーザープリンターやインクジェット、コピー機など様々なプリンターに適応する非常に使い勝手の良い紙です。
カラーバリエーションが豊富で、黄色系や緑系など柔らかな色合い、青からピンク、オレンジなどの展開も充実しており、優しく淡い色味が特徴です。
・書類の分類(会議資料・社内文書):色で種類を分けやすい
・チラシ、POP:ナチュラルな風合いの広告や案内に
・パンフレット、冊子の表紙:カジュアルでおしゃれな仕上がりに
・名刺、ショップカード:ユニークな色合いを活かしたデザイン
・アンケート、申込書:筆記性が良いため手書きの書類に最適
賞状、表彰状
賞状は、必要なときに必要な分だけ自作することができるため、学校内での印刷が便利です。
用紙は紙の表面が硬く、色もホワイトのほかにアイボリー系の色があるケンラン(ケント紙)がおすすめです。
テンプレートを利用してデザインを工夫すれば、賞状のほかにも、合格証や認可証など簡単に作成できます。

ケンラン(ケント紙)
色付きカード紙の定番で、40色以上のカラー、7種類以上の厚みを取り揃えた「ケンラン(絢爛)」です。
表裏差がなく、マットな表面でツヤも感じられる質感です。
賞状の用途は180kgの厚さがよく使われています。
薄手のものは名刺やショップカード、厚手のものは紙箱への加工など幅広くお使いいただけます。
・製図、デザイン:建築・工業デザインの製図やスケッチ用紙として使われる
・イラスト、アート:鉛筆、ペン、マーカー、水彩画など幅広く対応
・ポスター、パッケージ:厚みがあるため、しっかりとした印象を与えられる
・名刺、カード:高級感のある仕上がりになるため、ビジネス用途にも向いている
プログラム
運動会や競技大会などのプログラムは、屋外でも使いやすく、見やすいものが求められます。
厚みがあり、丈夫で色が目立つ色上質紙や日光の照り返しが少ないマット紙、雨などで濡れても大丈夫なOKレインガードのような撥水紙が適しています。
二つ折りにして使うことが多いので、両面印刷可能な厚さを選ぶのがポイントです。

OKレインガード
上質紙をベースに水に濡れる場所でも使用できるように開発された印刷用撥水紙です。
水をはじく紙ですが、印刷が可能で筆記性も良いです。
湿し水を使用するオフセット印刷やレーザー印刷に対応し、上品で高級感のある風合いも持ち合わせています。
屋外で使う旅行のしおり、ゴルフスコアカード、メモノートやポスターなどの他にも、飲食店のメニュー表や水場で使うような荷札等幅広い用途に対応いたします。
・屋外用ポスター、POP:雨や湿気に強く、野外イベントでも使える
・メニュー表、マップ:飲食店や観光地の案内用として人気
・タグ、ラベル:水に触れる可能性がある商品のタグ(アウトドア用品・ガーデニング関連など)
・工事現場、倉庫の掲示物:湿気が多い場所でも長持ちする
・船舶、登山用品のリスト:水に強いので、アウトドアでも安心
文集の制作
修学旅行の後や進級、卒業近くに作られる文集は、長期保存と読みやすさを考慮して上質紙や書籍用紙がよく使われます。
特に書籍用紙は淡いクリーム色で目にやさしく小さな文字を読むのに適した紙です。
製本まで含めると業者に依頼することが多いですが、思い出に残る素晴らしい記念誌を作るために、紙選びにもこだわりましょう。

淡クリームキンマリ(書籍用紙)
一般的な真っ白い紙とは違いややクリーム色掛かっていて、温かみのある色味なので目に優しく、長時間眺める文庫小説などに幅広く使用されています。
にじみ・裏写りがしにくいので、小説等の自主制作・自費出版を考えている方へおすすめの用紙です。
また、家庭用インクジェットプリンタやオフィスのレーザープリンタで印刷のできる共用紙です。
・文庫本、書籍(小説、エッセイなど):目に優しく、長時間読んでも疲れにくい
・辞書、専門書、学術書:適度な厚みがあり、文字が透けにくい
・ノート、手帳:書き心地がよく、筆記用紙としても使える
・冊子、報告書:落ち着いた雰囲気を出したい印刷物に適している
印刷時の注意点
印刷する紙の厚さに応じたプリンター設定を行うことで、印刷時のかすれや紙つまりを防ぐことができます。
また、印刷物を作成する際には、著作権や個人情報の取り扱いに注意が必要です。
広報誌やプログラムに著作権のあるキャラクターや写真を無断で使用しないようにしなければなりません。
学校行事の印刷物を手作りする際は、まず作るものに合った紙を選ぶことが大切です。
用紙選びを工夫することで、手作りでもクオリティの高い印刷物が作れます。
先生方やPTAの皆様が少しでも楽に、そして楽しく印刷物を作成できるように、このポイントを参考にしてみてください。
適切な紙を選んで、素敵な印刷物を作りましょう!